2017年に甲状腺腫瘍分類(WHO分類)が出版され、大きな変更が予定されています。今までは、良性と悪性の2者択一で、その中間的性格の腫瘍は、良性/悪性の診断不一致、過剰診断/過剰治療の元凶となっていました。これを改善すべく、第4版WHO分類では、境界悪性/前癌病変(前駆病変)の概念を取り入れました。本書『Thyroid FNA Cytology: Differential Diagnoses and Pitfalls』は、はこの変更点を先取りした最初の教科書です。NIFTP、硝子化索状腺腫/腫瘍などの前駆病変をどのように細胞診に取り入れ、診断するか、世界に先駆けて解説しています。鑑別困難は、今まで良性/悪性の区別が困難な、困りものの診断カテゴリーと説明されていました。これから鑑別困難の役割が重要となり、境界悪性/前癌病変(前駆病変)に対応するカテゴリーと変更されます。