がん対策基本法施行後,この10年間でがん医療における最も大きな変化は,患者さん自身が声を上げて,自分たちの抱えている問題を解決するために,積極的に政策提言や啓発活動に取り組んだことが挙げられる。今回のホスピス緩和ケア白書では,がん対策基本法施行後10年間の緩和ケアの歩みを「政策」「研究」「教育」「コミュニケーション技術研修」,さらに療養の場として「緩和ケア病棟」「病院緩和ケアチーム」「在宅緩和ケア」を取り上げて,多角的にその成果と課題を検討した。そして,緩和ケアの今後の展開を「研究」「教育」「腫瘍学と緩和ケアの統合」「非がん疾患の緩和ケア」「在宅緩和ケア」「地域社会における緩和ケア」という複数の視点から取り上げた。