目次
- インスリン物語
― 目次 ―
I 糖尿病と戦う
『パピルス・エベレスの処方』
スシュルタの蜜の尿
気あふれて消渇となる
患者の尿を見る
飲む水より多い尿
パンクレアス――すべて肉なるもの
アレタエオスの糖尿病の原因
ガレノスの美しい肉
一斗も飲み一斗も尿をする
梓州の長官が消渇を病む
自ら愛惜せざれば死踵をめぐらさず
麸片に似て甘い尿
食物の精気が上蒸しない
血中に火が潜伏する
雀目と内障
隔膜の消と肌肉の消
消渇論の低迷
疫病におののく鎌倉幕府
小児の瘡瘍と口渇
汪機の四症例
貧賎の者には鮮し
バンカラス――アラビアの膵臓
孔からもれる水,火を鎮めるケシの実
II 糖尿病に挑む
ガデスデンのジョン
ヴァレンティンの三原質とアルケウス
割れて先の鋭い塩が痛みを起こす
塩づけにされた腎臓
砒素と水銀で塩と明礬を殺す
人体解剖学の夜明け
甘美を食し,その気溢伝して消渇となる
サントリオ・サントリオの計量代謝学
ウィルスングが膵臓の絵を描く
曲直瀬玄朔の『医学天正記』
ヴァン・ヘルモントの発酵
酸とアルカリのバランスを考えたシルヴィウス
腎臓の過熱引水説からの脱却
ウイルスの『理論治療学』
蜂蜜や砂糖のように異常に甘い尿
腎臓の異常か,血液の欠陥か
血液の結合がゆるんで塩を離す
心窩部の熱と尿の甘味をもたらすもの
処方と節制と食餌と
化学の開拓者ボイルと宇宙創造神への信仰
ボローニャ大学のマルピギーの腎糸球体
犬を開腹して膵液を集めたド・グラーフ
膵臓を切除した犬の口渇多飲症状
ライデン大学のブールハーフェ
「カワキのヤマイ」の症状が書かれて
膵臓を膿血と誤認する
『解体新書』で初めて膵臓の存在を知る
「すべて肉」を意味する「膵」の字を創った宇多川玄真
ドイツの解剖学者クルムス
糖尿病を代謝異常と見抜いたドブスン
腎臓の病変は原因ではなく結果だとしたカレン
ロロの肉食療法
メレディス大尉の糖尿病……129 胃に原因がある特殊な病気ではないか
膵臓が注目され始める
酸素による燃焼
病気の座はどこにあるのか
本間■経験による症状を書く
緒方洪庵の『扶氏経験遺訓』
糖尿病昏睡の大呼吸
内部環境の恒常性と内分泌
魔法の島を発見したランゲルハンス
ミンコフスキーらの膵臓全摘出糖尿病の発見
原因を膵島とつきとめたアメリカのオピー
膵臓内分泌説への賛否両論
バンティングらのインスリン発見に向けて
III インスリンの発見
バンティングとベストの最初の報告
最初の奇跡
運命の女神に魅入られて
マクラウド教授との出会い
発見
マクラウドの手記
インスリンを発見したという他の人々
インスリンを糖尿病の人の手に
インスリンの単位
コントロールの原則を求めて
理想と現実のはざまで
まだ消えない生命への脅威
網膜の血管が変化して出血する
腎糸球体の変化で腎臓の働きが低下
網膜症や腎症は防げるか
わずか一年でもかなり進んでしまう網膜症
IV その後の研究と新しい発見
膵島は全部集めても一グラム
インスリンの構造
インスリンの微量測定を可能にしたバースンとヤーロウ
インスリン分子の立体構造
インスリンの家族(インスリン・ファミリー)
インスリン遺伝子
遺伝子とインスリンの生合成
インスリンの生合成過程
インスリン遺伝子の役割
インスリン生合成の異常
インスリンの細胞からの放出
組み換えDNAの企業化
インスリンはどのようにして働くか
インスリンレセプター
ブドウ糖輸送担体――インスリンがブドウ糖の細胞内取り込みを促進する機構
インスリンの分泌
なぜ糖尿病になるのか
1A型糖尿病の原因
2型糖尿病の原因
糖尿病の合併症はなぜ起きるのか
血糖コントロールは合併症を防げるか
移植によるインスリン治療の新しい試み