昨今,虐待などの不適切な養育環境で育ったり,生来的な困難を持ち健やかな成長が難しくなっている子どもや青年の心理的な援助の必要性はますます高まっている。
ウィニコットは,「子どもというものはいない」,つまり子どもは必ず養育者とセットで考える必要があることを指摘したが,子どもの心理療法は子どもの親との取り組みなしには成立しない。本書では、セラピストによる親との取り組みについての臨床経験を通して問題点を考察していく。精神分析実践の核は,人の無意識を知的に詮索することではなく,自分自身の身になってクライアントとともに考えていくことである。