器質か心因か

出版社: 中外医学社
著者:
発行日: 2021-01-20
分野: 臨床医学:内科  >  内科学一般
ISBN: 9784498229266
電子書籍版: 2021-01-20 (1版1刷)
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商品紹介

内科診療のなかで,明らかに心理的な反応にみえる身体症状の背景に,身体疾患が隠れているのを経験することはないだろうか.「器質か心因か」を巡る状況は内科医にとって非常にcommonな診療場面であるにもかかわらず,そのアプローチについては意識が向いてこなかった.そこで本書では,精神科の世界で古くから報告されてきた概念である「心理的加重」を紹介する.器質因があると心因反応がより起こりやすくなる現象への理解は,内科医の臨床レベルを数段向上させる.

目次

  • 第1章 器質か心因か
     器質か心因か
     器質を示唆する症状を呈すが、心理的な問題が原因のとき
     心因を示唆する症状を呈すが、身体疾患が原因のとき
      1.心理的加重(psychogenic overlay)
      2.健康な精神機能の減弱

    第2章 鬼の首をとった気になる前に
     鬼の首をとった気になる前に
     心因反応と思考するに至る4つのプロセス
      1.“身体疾患からの逸脱”という文脈
      2.心因反応の積極的な証拠の発見
      3.原因となりそうな「心理的な葛藤」の発見
      4.現場をとりまく構造からの影響

    第3章 心因反応の方程式
     心因反応の方程式
     除反応という視点
     内科でよく接する心因反応のパターン
        a.愁訴の増幅/情動変化
         症例a1:待合で怒鳴るサラリーマン
         症例a2:帯状疱疹の治療中に人格変化をきたした高齢女性
         症例a3:泣き続けるマイコプラズマ肺炎の女性
         症例a4:胸が苦しいと訴え続ける認知症の女性
        b.過呼吸・動悸発作
         症例b1:過呼吸を起こした高齢男性
        c.転換症状
         症例c1:失立失歩・失声を呈した女性
         症例c2:ヒステロ・エピレプシー
         症例c3:「脳炎ではありません」
    d.神経衰弱(不定愁訴)
         症例d1:テスト前の睡眠不足で神経衰弱?
         症例d2:引き算しても残る便秘
         症例d3:心因反応ときちんと診断する
         症例d4:むち打ち症は器質か心因か
         症例d5:慢性化した不定愁訴

    第4章 メスの深さ

    第5章 “病気”でないことの伝え方
     “病気”でないことの伝え方
     あまりやらないほうがいいこと
      1.病的意義のない検査異常と症状を結びつけて説明する
      2.身体疾患「風」の病名をつける
      3.否定できない病気があることを伝える
      4.とりあえず精神科/心療内科を紹介する
     大切だと思うポイント
        a.患者の訴えをよく聞き、事実レベルではなくメタレベルで応答する
        b.検査をする前に検査異常がなかったらどうするかを尋ね、
           先に心身相関の説明をしておく
        c.身体疾患ではどうやらなさそうと伝え、心身相関の可能性について
           もう一度一緒に考える
        d.精神科/心療内科を紹介するにせよ、自分で治療するにせよ、
           引き続き関わることを伝える

    第6章 動揺が症状に影響を与える
     動揺が症状に影響を与える
         症例1(職場の動揺)
         症例2(親の動揺)
         症例3(医師の動揺)

この書籍の参考文献

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主要参考文献

P.121 掲載の参考文献
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