私たちは,激しい攻撃性を持った子どもたちにときに遭遇します。そういった子どもたちの多くが,人生の中で何らかのトラウマを受けて育ち,それゆえに激しい攻撃性を持つに至ります。多くの場合,大人たちは子どもたちの示す攻撃性を前にして,なすすべがありません。その攻撃性にひるんでしまうか,それに耐えらず,逆に子どもたちを攻撃して,ときに傷つけてしまうこともあります。
本書はそういった攻撃性とどのように向き合っていけばいいか,新しい視点で理解することと,具体的で示唆に富んだ方法を教えてくれます。本書の示す方法は,これまでにないとても斬新なものです。近年注目を集めているポリヴェーガル理論の視点を取り込んでいて,科学的な見地からみても理にかなったものだと言えます。子どもたちと真に向き合う「オーセンティックな態度」とただひたすらに子どもと「一緒に居る」ことの大切さを本書に学び,日々の臨床に生かすことで,攻撃的な行動をとる子どもたちに対応するときに役立つでしょう。