解離性障害と他者性
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目次
- 第I部 解離研究の過去と現在
第1章 「他者」としての交代人格と出会うこと
実際には臨床家はどのように交代人格に出会っているか?/
「解離否認症候群」は健在である/最後に 良識派の精神科医の先生方へ
第2章 交代人格を「部分」として扱う歴史的な経緯
交代人格は「妄想」を抱いているのだろうか?/構造的解離理論/断片Fragments,という
見方はFerenczi に由来するのか?/そもそもDIDという呼び方に問題があったのではなかったか?
第3章 交代人格を一人の他者として認めない歴史(1)
精神分析的な心の理解について/ポリサイキズムと意識のスプリッティング/
Freudも持っていた「意識のスプリッティング」という考え方/スプリッティング
splittingという語の持つ両義性(O’Neil)/「ヒステリー研究(1895)」でBreuer
とFreud は訣別していた/実は解離のことを気にしていたFreudと「振動仮説」/
Janetの考えた解離
第4章 交代人格を一人の人間として認めない歴史(2)
van der Hart のタイプ1,タイプ2の分類/Ferencziだけはタイプ2の考え方を持っていた/
英国学派における解離理論
第5章 現代精神分析における「大文字の解離」概念の提案
現代的な精神分析理論における解離/精神分析における大文字の解離理論/共意識状態の不思議
第II部 解離と脳科学
第6章 転換性障害における他者性
はじめに/「転換性障害」は古い用語となりつつある/転換症状の脳科学的説明
第7章 意識は常に一つの統合体である
部分的な心と自我障害/「部分としての心」は存在するのか?──『僕を探しに』を読む/
心とはそもそも一つである
第8章 特殊な他者としての黒幕人格と「攻撃者との同一化」
黒幕人格と攻撃性/黒幕人格の成立過程/「攻撃者との同一化」の脳内プロセス
第9章 交代人格を部分としてとらえる離散的行動モデル
Putnamの離散的行動モデル
第10章 他者性の神経学的基盤
心とは神経ネットワークの産物である/ダイナミックコア仮説/離断脳に見られる
神経ネットワークの共存状態/DIDにおけるダイナミックコア/まとめ
第III部 解離性障害にどう対処するか
第11章 司法領域における解離と他者性(1)──責任能力とは何か
責任能力とは何か?/DIDにおいて責任能力が問われる状況のプロトタイプ
第12章 司法領域における解離と他者性(2)──「責任能力」をめぐる動向
現実の裁判においてDIDはどのように扱われているのか?/司法領域におけるDIDに関する見解/
DIDの裁判 最近の動向/DID裁判のさらに新しい動き/
結論 最近のDIDをめぐる動きをどのようにとらえるべきか
第13章 治療論──あえて統合を目指さず
統合が最終目標か?/ただし平和共存には問題がある/解離の治療とオープンダイアローグ/
ある臨床例を通して ケースA さん
第14章 他者性を踏まえた解離性障害をどう伝えるか?
治療者が理解しておくべき前提──解離性障害の診断を惑わす要素/患者にいかに伝えるか?
第IV部 解離性障害のこれから
第15章 解離性障害は「障害」なのか?
「障害」の概念とその表記の仕方/解離性障害の場合はどうか?/解離性障害と差別の問題/
LGBTQ “D” ?/解離性障害を障害とみなさないこともまた差別となりかねない?/
最後に提唱する「程よい」解離性障害のとらえ方
第16章 座談「交代人格といかに出会うか」
エピローグ 臨床における他者との出会い
解離性障害と他者/人格同士の混線状態/「交代人格は互いに他者どうし」であることに
なぜ私がこだわるのか/夢に出てくる私は他者ではないのか?/他者とは何か?/
精神分析における他者/どうしてこれほど他者の問題が重要なのか?/治療者の目指すこと