2011年3月11日の東日本大震災により生じた東京電力福島第一原子力発電所の事故により,大量の放射性物質が環境中に放出された.放射能汚染に伴う人体への影響に関してはさまざまな意見が出ている.中には明らかに風評による影響もあり,いたずらに不安感を醸し出している状況もみられる.これはおそらく,放射線や放射能に対してほとんど知らないことによるのではないかと思われる.本書は,正しく放射線や放射能を理解してもらうことを基本理念とし,わかりやすく,また最新の情報も含めて,放射線の基礎から人体影響,防御,除去方法まで具体的事例を含め総合的に執筆されている.学部学生の教科書としても,また放射線をこれから教える先生方にも参考になる書と考える.