自分は大丈夫だ、やれるんだという気持ち。自分は案外イケているじゃないか、という自信。それが自己愛だ。恥はそれが侵害され、圧し潰された時の感情として理解できる。それは深刻なトラウマ、すなわち「自己愛トラウマ」体験を引き起こすのである。ではその自己愛トラウマを引き起こす加害者は誰なのだろうか? 多くの場合、加害者の存在はあいまいである。しかしそうであっても、自己愛トラウマを被った人の傷の大きさは変らない。そしてそこから新たな怒りや加害行為を生むこともある。いま日本ではさまざまな問題が起きている。それらを理解するうえで、この自己愛トラウマやあいまいな加害者という概念を切り口として提唱する。