本書は、スーパーバイザー山上敏子によるケース・カンファレンスの記録であり、心理療法を学ぶための学習書ともなっている。下山研究室の若手臨床家たちが 持ちよったのは、強迫性障害を中心に、発達障害が並存するケース、強迫性緩慢を呈するケース、統合失調症が疑われるケース等さまざまな症状を抱えた6ケー ス。臨場感あふれるやりとりの中で、アセスメントから介入まで、理論をまなぶだけでは上達することの難しい心理療法の技術の使い方が、各ケースの現実に即 して具体的にわかりやすく示される。さらにそこからは、個別のケースを超えた、心理療法を実践する上での指針ともなる普遍的な真実も伝わってくる。臨床家 が身につけるべき貴重な技法と視点を得ることのできる1冊。