学生相談を訪れる学生のニーズは多種多様であり,そこでは臨床家にはジェネラリストとしての力量が求められる。学生相談はいわばプライマリケアであり、自分の専門以外の臨床技法を実践できない臨床家には学生相談のセラピストを務めることはできない。また,学生相談は面接室の中だけで完結しないことも多く、セラピストには現実的に学生や学生を取り巻く環境に働きかけることが求められるが、その際、そのマネージメント自体が心理療法的効果を産むように腐心する必要がある。本書は臨床のマニュアルではない。本書の目的は、読者が自分の頭で考えて自分ならではの臨床実践をする際の参照点となることにある。