現代精神分析の最先端の理論群,「フィールド理論」。
分析諸学派がそれぞれバラバラに立ち上げた理論群だが,現在一定の枠組みに収斂されつつあり,新たな分析理論の共通プラットフォームになることが期待されている。
本書は,南米のバランジェ夫妻による「神話生成モデル」,北米の対人関係論/関係論,間主観性理論による「プラズマ・モデル」,イタリアのフェッロやチビタレーゼによる「夢幻モデル」の3つのモデルの歴史的背景や,臨床技法を詳しく解説。
さらに著者は「ゾーイ」という架空の症例を作り出し,ゾーイが神話生成モデル,プラズマ・モデル,夢幻モデルのそれぞれを実践する3人の分析家に分析を受ける様子を描くことで,理論の理解を助けている。
わが国の臨床における可能性も大きく注目される「フィールド理論」の,絶好の入門書。訳者による詳細な解題付き。