親子でもない、きょうだいでもない、…大学の講義で偶然出遭った「ちょっと変わったせんせい」と「ちょっと変わった学生・Aju(あじゅ)」が、ある日をさかいに一つ屋根の下に暮らし始めて10年余り。Ajuが22歳のとき、突然診断されたのは「自閉症スペクトラム」だった。この得体のしれない「障がい」に翻弄されながら、Ajuとせんせいは対話を重ね、困った特性にもとことん向き合い、特性と仲良くなるための数々の「発見」をしていく。こうしてAjuがAjuらしく生きるために悪戦苦闘する日々の中、Ajuは絵に出会い、ひとに出遭い、自分に出会う。…一歩ずつ一歩ずつ共に歩んだ先に、ふたりに見えたものとは何だったのか?
――この本は、「障がいって何なのか?」「特性とどう付き合うか?」などをめぐる当事者からの生きた発信であり、同時に、Ajuとせんせいと周囲の人たちが紡ぐかつてない「ひと」と「ひと」との物語。