精神医療の専門性 「治す」とは異なるいくつかの試み

出版社: 医学書院
著者:
発行日: 2024-03-15
分野: 看護学  >  臨床/成人/老人
ISBN: 9784260055895
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2,200 円(税込)

商品紹介

神社のお札(フダ)を利用して精神症状を落ち着かせる。庭にシイタケの原木を持ち込んで関係性を深める。ACT(包括型地域生活支援プログラム)で行われていた、一見、医療とは相容れないような実践たち。そこに潜む、ブリコラージュ的な専門性を、現象学を用いて炙り出す! 日本の精神医療の現状に切り込み、風穴を開ける。精神看護の第一線で活躍する著者による、他に類を見ない試みの1冊。

目次

  • 序章 日本の精神医療の現状
     1.政策の推移
     2.病院と地域という場における支援観の相違
     3.精神科病院という空間における患者と医療専門職の非対称性
     4.多様な価値観が内包された地域という空間
     5.地域という場における専門性とは何か

    第1章 支配から信頼へ──精神症状をその人の本質として捉える
     1.固有の語りから専門性を炙り出す
     2.患者の見え方の違い──精神科病院と自宅
     3.生活を支配する支援への疑問
     4.「その人が考える」ことを目指す
     5.利用者の主体化を図る基盤としての安心と信頼
     6.地域では見れないという感覚の消失
     7.精神症状を人間らしさの本質として捉える

    第2章 薬より、お札やったんや!──専門職としてではなく、人として関係性をつくる
     1.さまざまな実験を行う実践
     2.「この世界」への応答
     3.人としてあたりまえの感覚
     4.「孤独」から「一緒」に
     5.ウルトラ問題児から普通の姉さんへ
     6.精神医学以外の方法による接近

    第3章 「治す」ではなく「暮らす」を目指して──精神疾患を病ではなく、その人の苦悩の一形態と捉える
     1.実践は暴力的な意味を帯びていた
     2.症状ではなく、困りごととして取り上げる
     3.関係性の反転をはらむ「ごめんなさいとありがとう」
     4.「薬が必要」から「薬が自然」へ
     5.精神疾患をどう位置づけるかで実践は劇的に変化する

    第4章 意味のある支援──主体化を目指し、利用者に責任を返しながら伴走する
     1.表面的には捉えにくい事象への関心
     2.ホールディングを保証する
     3.手当ができる距離まで近づく
     4.背後にあるものを読み取る
     5.意味のある支援を展開する
     6.利用者に責任を返しながら主体化を目指す

    第5章 医療から社会生活へのシフトチェンジ──保護的な支援から、いつか到来する「自己実現」に向けた支援へ
     1.利用者のリカバリーに関する問題
     2.ACTの限界を起点として
     3.振り回されるという意図を込めた関係づくり
     4.支援の限界点──良質な抱え込みから悪質な抱え込みへ
     5.利用者の新たな顔を見出す──人と場の拡大
     6.医療から生活支援へ
     7.支援者中心から本人中心の支援への視点の転換
     8.自分本位から自己実現に向けて
     9.保護的な支援からの脱却

    第6章 精神医療の専門性をつくり変える
     1.維持・管理から離れて発揮される専門性
     2.支援の出発点としてのホールディングと苦楽を共にするという経験
     3.地域生活の維持という状態からリカバリーへの転換
     4.専門性の方向を見定める

    補章 ACTとは何か
     1.ACT-Kとの出会い
     2.ACTの概要

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