出版社: | クインテッセンス出版 |
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著者: | |
発行日: | 2002-09-10 |
分野: | 歯科学 > 歯科学一般 |
雑誌名: |
5,280 円(税込)
インプラント療法が、長期間にわたりきわめて高い予知性を示す治療法と認知され、歯科治療における有効な選択肢として定着して久しい。オッセオインテグレーションを獲得するためには、清潔な環境下における組織への侵襲を最小限とする慎重な術式が求められるが、ともすれば外科的術式がインプラント療法のすべてであるかのように重視される傾向にある。しかしながら、オッセオインテグレーションを10、20年あるいはそれ以上の単位の長さで持続して、患者にその治療の素晴らしさを享受していただくためには、上部構造の存在はきわめて大きい。すなわち、歯科技工士は支台装置としてのフィクスチャーにいかに正しく適合する、強固な上部構造を製作するかに腐心しなければならない。補綴処置を担当する歯科医師には、引き継いだその上部構造が口腔内の現実のフィクスチャーあるいはアバットメントにいかに正しく適合しているのか、また、咬合状態に調和しているのかといった観点から厳しく問題点を捉えることのできる眼と手指の感触を持つことが要求される。以前は咀嚼をはじめとする機能の回復に重きが置かれていたインプラント療法にも、審美性回復の波が押し寄せ、今まで以上に技工操作に高い技術が要求されるようになってきた。さらに、歯科インプラントの常識であった数ヶ月に及ぶ治療期間を大きく減ずるといった、治療の原則にまで立ち戻る必要がある治療法が臨床応用される状況に至っては、従前の技工操作の知識・技術だけでは対処が難しいものもでてきた。(「序文」より)