本書は計測機器の解説書ではない。臨床における思考過程を示したものである。もう少し言えば、臨床家のための計測にかかわる思考過程を具体的に著した入門書と言ってもよいだろう。「計る」ことは一つの次元を含めて量的な表現をすることであり、生態現象を取り出す過程において強調される要素がある一方で失われる現象が存在する。遠くから眺めていた時にはくっきりと見えていたものが、計る事によって見えなくなってしまうことも稀ではない。だからといって、ただぼんやりと眺めていただけではその本質を正確に判断して対処することは難しい。