肺がんの罹患率は高く,日本人の部位別罹患率では男性の3位,女性の5位となっています。さらに,地域間および集団間の較差を平均化した年齢調整死亡率では,肺がんによる死亡が男性で1位,女性で3位となっています。
肺がんの進行は速く,早期発見の重要性が叫ばれているなか,十分な対策がなされていない現状も示唆されています。早期発見に欠かせない画像検査の最先鋭ツールであるCTには診断能の高さに期待が集まる反面,放射線被曝の危険性が言われており,その曝露低減の手法についてはさまざまな研究が進められています。また,実質的な利益と危険性の天秤を数値的に解釈する方法も考察されています。
こうした流れの中で,初期投資を抑え,各施設に従来設備されている機器の能力を適切にコントロールして低線量CT検査を実現し,これによるスクリーニングの普及から肺がんの早期発見に結びつけるために発行された参考書です。