素行障害(conduct disorder:CD)は,社会的な規範に対する反復的かつ複数の分野にわたる問題行動によって規定される疾患概念である。診断・評価にあたっては,DSMやICDに基づく診断が半構造化された基準にしたがって行われるべきであり,それに加え本書では,下位分類を評価するCDCL(conduct disorder check list)の有効性を示す。治療については,まず性非行に対する自立支援施設での治療教育プログラムの成果を明らかにする。さらに,CDに対する治療・援助は一機関のみでは難しい。そこで地域専門機関の連携システムの設置と,それを通じた複数機関による介入を紹介する。そして,地域専門機関への調査から,その連携システムには,医療的な評価や高度の治療が求められることも明らかにされた。 本書では,これらの研究成果を導入した,素行障害に対する診断と治療のガイドラインを示す。