発達障害やトラウマをめぐる理解と診断が混乱をしているために起こってしまう誤診。そこから生じてしまう多剤・大量処方。そうしてこじれてしまった症例が,筆者の外来を多数訪れる。本書ではまず,発達障害とトラウマを見落とさないために,その診断と治療に関する整理を行い,ついで少量処方の実際と,いくつかのパターンに分けられる,誤った診断に基づく誤った処方の具体例,そうした症例に対処する治療実践について,臨床的な経験を提示する。そして最後に,このような少量処方の臨床が有効な根拠についての試論を行う。精神科医療で大きな問題となっている多剤・大量処方の現状を改新すべく,臨床というフィールドワークにおける試行錯誤から得た経験の集大成として著者が提示する,エキスパート・オピニオン。